
CHAIN OF STRENGTH — SoCal sXeの“刃”を研いだバンド
CHAIN OF STRENGTHは、南カリフォルニアのsXe(ストレートエッジ)ハードコアを語るときに必ず名前が挙がるバンドの一つだ。Curt Canales(Vo)、Ryan Hoffman(G)、Chris Bratton(Dr)、Alex Barreto(B)、Frosty(Crunch)(G)という編成で、80年代末〜90年代初頭に短く鋭い楽曲を残した。

ただ、彼らの強さは「速い/短い」だけじゃない。周りにどう見られようが、線を引くことをやめない。ドラマーのChris Bratton自身、当時を振り返って「他人がどう思うかなんて気にしなかった」ニュアンスで語っている。年上連中に文句を言われても笑っていた、という温度がそのまま残っている。

今回扱う「TRUE TILL DEATH」は、1989年にRevelation Recordsから出た同名7インチ作品に収録された曲で、後年それらの初期音源をまとめた編集盤『THE ONE THING THAT STILL HOLDS TRUE』(Revelation/1995年)でも聴ける。
この記事の要点 — ただの音楽に縮めるな
「TRUE TILL DEATH」は、sXeを「ただの音楽」「個人の意見」に縮めてしまう態度への反発を描いた曲だ。
語り手は「本気にするな」「自分の人生の話にすぎない」と距離を取る相手に対して、「じゃあ、俺の人生はどうなんだ」と返す。
ここで問われているのは正しさの競争じゃない。誰かの言葉や態度が、別の誰かの生き方を動かしてしまう──その現実だ。Brattonが語る「周りを気にしない」感覚は、この曲の切れ味と直結している。
曲情報 — 1989年の7インチが核
「TRUE TILL DEATH」は、1989年にRevelation Recordsから出た7インチ『TRUE TILL DEATH』に収録された曲で、後年の編集盤『THE ONE THING THAT STILL HOLDS TRUE』(Revelation/1995年)にも収録されている。この記事では、歌詞和訳とあわせて、当時の制作情報やレーベルの文脈も含めて整理する。
編集盤『THE ONE THING THAT STILL HOLDS TRUE』の中身(歌詞カード注記ベース)
この編集盤は、CHAIN OF STRENGTHの記録を一本に束ねた内容になっていて、歌詞カードの注記がそのまま作品の成り立ちを説明している。
Track 1は未発表曲。Track 2〜5は1990年にFoundation Recordsから出た『What Holds Us Apart』収録曲で、Pendragon Studiosにて1989年5月から1990年2月にかけて録音され、Bill Krondellがエンジニアを担当している。Track 6〜11は1989年の『TRUE TILL DEATH』(Revelation)収録曲で、Spotで録音された。どちらもプロデュースはバンド自身が行っている。
なぜ南カリフォルニアのバンドがRevelationから出したのか
ここが一番大事なところ。
「SoCalなのに、なぜNY文脈で語られがちなRevelation?」という違和感は、当時の当事者の言葉で整理すると一気に解ける。

Inland Empire周辺の中心人物の一人、Jon Roaは「CHAIN OF STRENGTHが便乗したと言う人がいるなら、Ryanと自分はその“最初の車輪”をJustice Leagueの頃に作っていた」と語り、続けて“最初にRevelationから『True Till Death』を出し、その後に自分たちでFoundation Recordsを作った”という流れをはっきり並べている。さらにFoundationで他の地元バンドも支えたことまで言及していて、レーベル選択が偶然じゃないのが分かる。
要するに、Revelationは「NY限定の看板」というより、当時のsXe/Youth Crewの中核へ繋がる回路だった。CHAIN OF STRENGTHがそこへ乗ったのは、地理より系譜を優先した選択だった、と書くほうが正確になる。
1989年、ネット無しで自分たちで回した現実
「Revelationに繋いだ」だけじゃない。現場の動かし方自体がDIYだった。
Mark Starrは、InsightとCHAIN OF STRENGTHが1989年夏にツアーへ出た時期を振り返り、当時はインターネットもなく、ツアーブッカーもいなかったから、Ryan Hoffmanと自分たちで電話を回して全日程を組んだと語っている。

この「自分たちで回す」感覚は、歌詞の「自分の線は自分で守る」という姿勢と同じ方向を向いている。
計算的(contrived)と言われた理由=曲の強度
CHAIN OF STRENGTHは当時、外側から「作り物っぽい」「考えすぎ」と見られることもあった。Tim McMahonは、彼らが“contrived”と呼ばれがちだった理由を、やること全部に考えを巡らせすぎているように見えたからだと語っている。
でも裏返すと、それは無自覚な勢いじゃなく、意志を持って線を引いていたってことでもある。「TRUE TILL DEATH」が今でも説得力を保つのは、その意志の設計が曲に焼き付いてるからだ。
TRUE TILL DEATHは世界に届いていた(後追いの評価の強さ)
影響の証拠も残っている。Dennis Lyxzén(Refused)は、CHAIN OF STRENGTHが好きだとはっきり言い、Refusedが「TRUE TILL DEATH」をカバーしていたことまで語っている。さらに、子どもの頃にChainの7インチを持って散髪に行き、メンバーみたいに切ってくれと言った、という具体的なエピソードも出てくる。
つまりこの曲は、当時のSoCal内部だけの内輪アンセムじゃなく、後の世代や別の国のバンドにまで刺さっていったタイプの曲だ、と書ける。
歌詞の読みどころ(Has the edge gone dull? の意味)
サビで繰り返される「Has the edge gone dull?」は、dull(鈍る)と並ぶことで、まず刃の切れ味=鋭さとして機能する。
同時にedgeには境界線・一線という意味もあるから、この問いは「線引きが曖昧になってないか?」という確認にも聞こえる。
要するにここは、相手への挑発であり、同時に自分自身へのチェックだ。
そしてBrattonの「周りは気にしない」姿勢や、Jon Roaが語る「Revelation→Foundation」の筋道は、そのedgeが言葉だけじゃなく、やり方として貫かれていた裏付けになる。
この曲を聴く入口はシンプルでいい。オリジナルは1989年の7インチ『TRUE TILL DEATH』(Revelation)で、後年の編集盤『THE ONE THING THAT STILL HOLDS TRUE』(1995)にも収録されている。SoCalのバンドがRevelationから出した理由も、当事者の証言がある。Jon Roaは「最初にRevelationで出して、その後Foundationを作った」という順番をはっきり語っていて、これは地理の違和感ではなく、当時のsXe/Youth Crewの回路に接続する選択だったと読める。

さらに、1989年夏のツアーをRyan Hoffmanたちがブッカー無しで電話で組んだという証言も残っている。曲の線引きはスローガンじゃなく、こういうやり方の積み重ねで裏打ちされていた。
関連:CHAIN OF STRENGTH/TRUE TILL DEATH/Revelation Records/Foundation Records/Youth of Today/Ray Cappo/Jordan Cooper/Inland Empire(SoCal)

TRUE TILL DEATH
You said it shouldn’t be taken too seriously
おまえはあまり本気で受け止めるなと言った
You said it was just your personal ideas and opinions
おまえはそれは単なる個人的な考えや意見だと言った
You said it was only meant to relate directly to your life
おまえはそれは自分の人生の話に過ぎないと言った
What about my life?
俺の人生はどうなんだ?
Has the edge gone dull? (chorus 4X)
その鋭さは鈍ったのか?
Well maybe now that you’ve grown dull and old
まあ、おまえが鈍く老いてしまった今なら
We’ll pick up where you left off
おまえが中断したところから俺たちが続きをやる
To you it was just music
おまえにとってはただの音楽だった
But to us it was so much more
しかし俺たちにとってはそれ以上のものだった
when we put our heads together
俺たちが知恵を出し合うときは
we’ll prove we’ve got the edge
俺たちが鋭さを持ってることを証明してやる
that can never dull
決して鈍ることのない
True till death / Has the edge gone dull?
死ぬまで本物のまま / その鋭さは鈍ってしまったのか?





