Cultureの「Born of You」は、1995年にConquer the World Recordsから出たアルバム『Born of You』のタイトル曲である。Damien Moyalが歌っている。

この曲を読む前に押さえておきたいのは、『Born of You』が一度で完成した作品ではないということだ。1993年の最初の録音では4曲が録られ、そのうち2曲はShadow Recordsの7インチに使われ、残り2曲にも後の『Born of You』へ作り直される部分が含まれていた。ここではRich Thurstonがギター、ベース、ボーカルを担当し、Josh Williamsがドラムを叩いていた。

Damien Moyalは1994年にCultureへ入る。John Wylieの紹介でオーディションを受け、そのときに歌ったのは1993年デモ曲の「Where Are You?」だった。Damien自身も後年、その歌詞を覚えてオーディションに行ったと振り返っている。加入前から、あのデモはDamienにとって特別な存在だった。

Damien加入後のCultureは、『Born of You』に向かって録音を重ねていく。確認できる資料では、フルレングスは1年のあいだに3回試みられている。1994年録音の「Bleed the Lying Sky」「Hollow」「One and Only」はその最初の試みからの曲で、2回目の試みは現存未確認、3回目の試みが最終的に『Born of You』になった。別の資料でも、Damien加入後に『Born of You』になる曲群の複数バージョンを録音していたことが記されている。1993年の素材から始まり、Damien加入後の試行を重ねて形になったのが、このアルバムとタイトル曲だった。

同じ時期、CultureはRooseveltとのsplitも進めていた。もともとはFloridaの複数バンドによる7インチ企画として始まり、最終的にCultureとRooseveltの2バンドだけが録音してsplitになった。Intention Recordsから出たこの作品は、South Floridaの現場の混ざり方をよく示すものでもあった。Roosevelt側は、自分たちを感傷的な側、Cultureを硬質な側として見ながらも、その並びが当時の空気をそのまま表していたと振り返っている。白地に花のカバーと、ベージュ地に若い炭鉱労働者の写真のカバーが存在することも確認できる。

South Floridaの現場そのものも、この曲の背景として切り離せない。Damienは、No Fraud、FWA、Beyond Reason、Quitを挙げたうえで、自分に最も大きな衝撃を与えたのはTimescape Zeroだったと話している。1990年代半ばの重要バンドとしてはTension、Brethren、Strongarmを挙げている。会場として名前が出るのは、Washington Square、The Junkyard、Cameo Theater、Churchill’s Hideaway、Button South、The Kitchen Club、The Mudhouse、そして北側ではThe Foundation、The Old Schoolhouse、The Brothelだ。Rich側の証言でも、South Floridaはpunk、ska、hardcore、metalが同じ現場に集まる小規模で有機的な場として語られている。

DamienとRichの前史も、この曲の背景には入ってくる。DamienはU.S. Decline、Insist、Reach、Handoverfistを経てCultureに入った。Handoverfistでは、PanteraのうねりとNYHCの感触を持つ2曲を書いていたという。RichはMassachusetts生まれで、New Jerseyを経てFloridaに移り、Chris Goldbachの車に貼られていたMinor ThreatとDag Nastyのステッカーを見てhardcoreに入った。The End、Egotrip、短期間だけTimescape Zeroにもいた。Richは一度Richmond, Virginiaへ移ってGripのベースを3本だけ手伝い、その後Floridaへ戻ってCultureを始める。最初は3人編成で、自分がギターとボーカルを兼ねていた。Richは、John、Josh、Gordon、Damienが揃ってからをCultureの本格形と見ている。

音については、RichとDamienの言い方が少し違う。Richは、最初のデモと『Born of You』は特定のバンドを狙って真似したものではなく、自然に出てきたものだったと話している。当時はかなりメタルだと思っていたが、後から聴くとそこまででもなかったとも言う。Damienは、加入前のデモと7インチを特に高く評価しつつ、『Born of You』ではJosh Williamsのドラムの特徴がさらに前に出ていたと話している。さらに、この作品がMorning AgainやPoison the Wellなど後続バンドの音の源流の一つになったとも見ている。2013年の別のインタビューでは、初期Cultureの影響源としてInside Out、108、Black Train Jack、Downcast、Overcast、Split Lip、Integrityを挙げている。Earth CrisisやUnbrokenは好きだったが、Chokeholdを聴くようになったのはもっと後だという。

歌詞については、いま確認できる資料の中で二つの軸が見えている。ひとつは、Cultureが自分の信条や政治的な考えを書く場だったというDamienの説明だ。1999年のインタビューでは、As Friends Rustではもっと個人的なことを書けるが、Cultureでは自分にとって大事な考えを書くと話している。同じインタビューでは、Cultureは動物や環境の問題だけでなく、もっと深く物事を見る姿勢を持っていたとも言う。革命について問われた場面では、社会の側の変化として話し、不買や金の使い方も話題にしている。

もうひとつは、『Born of You』期の歌詞の手触りだ。Damienは後年、Kindred期の曲は『Born of You』期の、かなり個人的な色合いを持った歌詞からさらに政治的な方向へ進んだと話している。ここから言えるのは、『Born of You』期のCultureは、信条や政治的な考えを書く場でありながら、歌詞の質感としてはかなり個人的なものも含んでいたということまでだ。

歌詞の書き手についても一つ重要な点がある。Rich Thurstonは2010年のインタビューで、『Born Of You』の歌詞をかなり自分で書いたと話している。さらに2018年には、初期デモの歌詞は自分を振った相手についてのものだったと振り返っている。再発資料では、1993年デモの一部が後に『Born of You』へ作り直されたことが確認できる。初期素材の段階にかなり個人的な感情が含まれていたことは確かに見える。ただ、そのことをタイトル曲「Born of You」にそのまま結びつける材料までは、いまの資料には出ていない。

2013年のDamienの証言も、その切り分けには重要だ。Damienが入った時点では、Cultureはまだveganでもvegetarianでもなかった。その後の学び合いの中で全員がveganになり、そこからveganについての歌詞を書き始めたという。だから『Born of You』期の全曲を、後年の明確なvegan straight edgeの段階と同じ濃さで読むことはできない。

『Born of You』という曲は、1997年にもう一度録り直される対象にもなっている。Damien復帰後のラインナップで、『Born of You』LPから5曲が再録音された。企画名は当初Mike Warden Can Suck It、その後Reborn of Youとなる。「Born of You」自体もそこに含まれていた。あわせて「Not as Mine」「Apologies」「Still Crossed」「Twentyfour」も再録されている。同じ時期には新曲「Treating Myself to a Bullet」とJudgeの「Fed Up」カバーも録音された。タイトル曲は、後年のバンドの中でも録り直す価値のある曲として扱われていたことになる。

その後の流れも残しておく。Damienが一度離れたあと、Jeremy Haynes、Louie Long、Anthony Conteが仮ボーカルを務め、1996年にMark Mitchellが戻る。John WylieはMorning Againを始め、Steve Lookerが入り、その後Damienが再加入してKindredとのsplit、Heteronome、Mike Warden Can Suck It / Reborn of Youの流れへ進む。Good Lifeは『Born of You』を欧州向けに再発し、Cultureは1997年と1998年にヨーロッパへ行く。Damienは、その経験で支持の広がりを強く感じたと話している。Cultureの終わりについては、Damienは自分が酒を飲んでいたこと、新しいAs Friends Rustに集中していたこと、Rich抜きで続けたのは本来よくなかったことを話している。後年、DamienとRichは再びつながり、On Bodiesでまた一緒にやることになる。

発売当時の広告では、『Born of You』は気取りのない作品、張りつめた精度を持つ作品として紹介されていた。後年のDamienも、録音面への引っかかりをいったん通り過ぎたうえで、この作品を時代をよく捉えたものとして見直している。

Born of You」は、1993年デモの段階から引き継がれた素材、Damien加入後の録音の積み重ね、South Floridaの現場で結ばれていた人間関係、Rooseveltとのsplitを含む周辺の動き、RichとDamienそれぞれの前史、歌詞の書き方と見方の差、1997年の再録計画、ヨーロッパでの広がり、解散までの流れの上にある曲として残っている。

BORN OF YOU

Born of you

おまえが生んだ

You

おまえ

Create the fire

火を起こす

That in the end

結局のところ

Consumes you

おまえを飲み込む

I

Fill my latrine with spite

俺の便所に恨みを満たせ

Spite

恨み

Forever born of you

永遠におまえが生む

You

おまえ

You fill my gut with rage

おまえは俺の腹を怒りで満たす

Rage

怒り

Forever born of you

永遠におまえが生む

Welcome this hell

この地獄を歓迎しろ

You asked for it

自業自得だ

Never satisfied

決して満足しない

Need a way to win

勝つ方法が必要だ

Embrace this hell

この地獄を受け入れろ

You created it

おまえがそれを作った

Never satisfied

決して満足しない

Gotta get back in

また戻らなきゃ

Gotta get back in

また戻らなきゃ

Forced to dwell

住まざるを得ない

In disarray

混乱状態

Your lack of pride

おまえの誇りの欠如

Leads to lack of effort

努力不足につながる

Leads to lack of order

秩序の欠如につながる

The cry of murder

殺人の叫び

Welcome this hell

この地獄を歓迎しろ

You asked for it

自業自得だ

Never satisfied

決して満足しない

Need a way to win

勝つ方法が必要だ

Embrace this hell

この地獄を受け入れろ

You created it

おまえがそれを作った

Never satisfied

決して満足しない

Never satisfied

決して満足しない