
Out Of The CagesはEarth Crisis『Salvation Of Innocents』収録曲で、歌詞ビデオは2014年2月28日に公開され、アルバムは2014年3月にリリースされている。
この曲の舞台について、Scott Crouseはインタビューで「アルバム全体は動物実験の研究施設を舞台にしていて、人間側と動物側の視点で描いている」と説明している。ここを前提にすると、歌詞に出てくる lab / tests / files は、研究施設の現場語として整理しやすい。
歌詞で起きていることは、檻に閉じ込められた存在を外に出す、施設内を移動する、時間制限の中で計画どおりに動く、という流れだ。途中で files(記録) が消える場面が出る。研究施設では、手順は計画書になり、観察は記録になり、申請と報告が書類として残る。ここでの files は、その束を指す言葉として扱える。
この「記録と手順」の感触を具体の言葉に戻す材料として、映像作品『Unnecessary Fuss』がある。字幕では、University of Pennsylvania の Head Injury Clinic が連邦資金で運営され、年間約100万ドルの資金を受け取っていること、実験の目的は自動車事故やスポーツ外傷を模すことだと説明される。外向きの説明とNIHへの提出書類が食い違っている、という指摘も出る。また、動物に液体がこぼれた場面について「酸かもしれない」と字幕で触れている箇所がある(字幕の説明であって、確定の断定ではない)。さらに、1984年の農務省検査でAnimal Welfare Actに関する違反があった、という説明も出る。ここまで並べると、歌詞の files は「象徴」ではなく、ラボの運用と説明責任の中心にある記録として理解しやすい。
ここから団体名の話に入る。Earth CrisisのKarl Buechnerはインタビューで、関わりのある名前として Animal Liberation Front(以下ALF)、Liberators、Justice Department、Earth First! を挙げ、あわせてPETAとRainforest Action Network(RAN)の文書を配布している、と述べている。バンドは、ひとつの路線だけを前提にしていない。
PETAは、研究施設を含む現場の実態を外に出す活動を続けてきた団体だ。この記事で触れた『Unnecessary Fuss』も、その「内部の可視化」の文脈で語られている。もうひとつの代表例として、1980年代の「Silver Spring monkeys」は、研究室内部の虐待疑惑が捜査や裁判に発展し、動物実験をめぐる議論が全国規模で広がった件として、PETA自身が整理している。
RANは企業キャンペーンで知られる。問題を特定し、標的を選び、世論と交渉を通じて企業の方針変更を狙う。動物実験の団体ではないが、構造(企業・資金・取引)を動かす方法として同じ地図に置ける。代表例として、RANは2004年にCitigroupが環境方針を採用した件を「勝利」として発表し、第三者の報道でもその出来事が取り上げられている。
Earth First!は、急進的な環境運動として整理され、妥協しない姿勢を掲げる団体として説明されている。具体例として、字幕資料には「Sabino CanyonのEarth First!」という場面があり、狩猟者を追って撮影し、違法の可能性に触れながら「記録するためにここにいる」と説明するくだりが出てくる。ここは、動物の問題と環境の問題を同じ線で扱う視点を、映像の中で具体化している。
ALFについては、字幕で「組織ではない」「構造がない」「匿名で動く必要がある」という説明が出てくる。外部から見ると、まとまった会員組織というより「名乗り」として現れる、という前提が必要になる。字幕の中では、実験施設にウサギを売っていた農場をめぐる抗議キャンペーンの経緯や、UC Riversideの「Britches」が語られ、目の剥奪テストと救出が説明されている。歌詞の cages を具体物として理解する材料になる。
Liberatorsは、ここでは固有の組織名として確定できる情報が不足している。記事では「解放の側」を指す呼び名として置くのが現実的だ。
Justice Departmentは、動物権利運動の文脈の中でも別の位置づけで語られる。百科事典的な整理では、ALFの非暴力ガイドラインから距離を取り、暴力も辞さないと宣言したグループとして説明されることがある。ここは評価ではなく、同じ文脈でも立場が割れる、という事実として押さえる。
運動と取り締まりの関係も、この曲の背景として切り離せない。字幕の中では、SHACの元代表としてKevin Jonasが言及され、Animal Enterprise Protection Actの文脈で連邦起訴されたという説明がある。別の場面では、合法デモのあとに家宅捜索を受けた体験談も語られる。外部の記録としては、CCRがSHAC 7の起訴経緯を整理し、FBIは動物権利過激派やエコテロ対策を国内テロ捜査の優先事項としている、という証言を公開している。
ここまでの整理は、団体や行為の是非を決めるためではない。歌詞の単語を、動物実験ラボの現場語として読める状態に戻すための土台だ。リリース時期、インタビュー発言、各団体の公式説明や事件の記録は出典で確認できる。歌詞の単語の対応づけは、本文を読みやすくするための整理で、事実の断定ではない。
OUT OF THE CAGES
Never turn my back on them
決して彼らを見捨てない
I can’t ever live as I once did
俺はもう二度と、かつてのようには生きられない
I have to obey my conscience and answer to all that it bids
俺は良心に従わなければならないし、その良心が命じるすべてに応えなければならない
Why would the hand of fate place me here
一体なぜ運命の手は俺をここに導いたのか
If it wasn’t to heed the call
もしその使命に応えるためじゃなかったら
Destined to be the one who steps up out of line to save them all
みんなを救うために、列から踏み出して前に出るその一人になる運命だ
The files dissolve
証拠が溶ける
Awash in smoking acid
酸の蒸気で覆われている
ill gotten gains their total destruction
不正に得た利益は完全に滅ぼされる
Rushed through the lab to set the prisoners free
囚われた動物たちを解放するために研究室を駆け抜けた
From the horror that they were locked into
彼らが閉じ込められたその恐怖から
If what went on behind these walls
もしもこの壁の向こうで起こっていたことが
Happened in the public’s view
公衆の面前で起きたら
The tests would end from the disgust
その嫌悪感で実験は終わるだろう
This would never continue
これは決して続かない
Ticks of the clock rushing forward
秒針が刻々と先へ急ぐ
There are only moments of time
時間は一瞬しかない
To rescue them then to escape
彼らを救い、それから脱出するために
Follow the plan line by line
計画を一つ一つ順に実行する
The Files dissolve
その証拠が溶ける
Awash in smoking acid
酸の蒸気で覆われている
ill gotten gains their total destruction
不正に得た利益は完全に滅ぼされる
Rushed through the lab to set the prisoners free
囚われた動物たちを解放するために実験室を駆け抜けた
From the horror that they were locked into
彼らが閉じ込められたその恐怖から
Out of the cages
檻の外へ





