IRATE『11:34』(2001)全曲和訳まとめ|背景・現場証言・録音裏話(一次ソース参照)

このページは、IRATE『11:34』(2001)の全曲和訳・解説ページへ飛べるまとめです。

あわせて、当事者の証言を軸に、制作条件と当時の現場の空気、時代背景を整理します。

歌詞の全文転載はしません。各曲の和訳ページと背景解説を行き来しやすくするための固定ページです。

一次ソースは主に二つです。

Bronx County Historical Societyの企画 Uptown Rumble: Heavy Music in The Bronx に収録されたIRATEの口述史インタビュー。聞き手はSteven Payneで、語り手としてPhil Vibez、Fernando Sierra(Nando)、U.V.が参加しています。

もう一つは配信番組 The NYHC Chronicles LIVE! のCastle Heights回です。回のタイトルにGary Muttley(Billy Club Sandwich)とPhil Vibez(Irate)の出演が明記され、Castle Heightsや当時の会場、シーンについて語られています。

以下は、誰がどのソースで語ったかが本文だけで追える形でまとめます。

全曲和訳リンク(各曲ページ)

  1. GONE – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「Gone」Lyrics 歌詞和訳|神も薬もこの苦悩から俺を救うことはできない。

2. 11:34 – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「11:34 」Lyrics 歌詞を和訳 どんな結果が訪れようとも受け入れる、ただ、この苦しみを終わらせてくれ!!

3. AWAKENINGS – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「AWAKENINGS」Lyrics 歌詞和訳 俺は気づいたんだ、背いて自分の目で確かめる以外に選択肢はないってことを..

4. DAY OF RECKONING – 歌詞和訳・解説ページ:

Irate「DAY OF RECKONING」Lyrics 歌詞和訳 俺はあなたを通して語り、あなたは俺を通して語る。

5. C.P.R. – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「C.P.R.」Lyrics 歌詞和訳 なぜおまえらは、苦しんでる被害者たちに応えないんだ?奴らを床に叩きつけろ!

6. ALREADY DEAD – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「Already Dead」Lyrics 歌詞和訳 伏せる、立ち上がる。獣のように生きろ、本能のままに生きろ!

7. SUPREMACY – 歌詞和訳・解説ページ:

Irate「SUPREMACY」Lyrics 歌詞和訳 人種差別主義者、独裁主義者、俺はおまえを棺桶にぶち込んでやる!!

8. STEP TO MY WORLD – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「Step To My World」Lyrics 歌詞和訳 閉ざされた扉は、俺の狂気を癒してくれる。

9. ALWAYS REMAIN – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「Always Remain」Lyrics 歌詞和訳 「Archie!!!」オール・イン・ザ・ファミリーを一緒に観て笑ってた!

10. CEREBRAL ASSASSIN – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「CEREBRAL ASSASSIN」Lyrics 歌詞和訳 汝は我があらゆる欲求を満たすべし、我が人類を滅ぼすとき。

11. DISHONOR – 歌詞和訳・解説ページ:

Irate「Dishonor 」Lyrics 歌詞和訳 俺を探そうとするな。俺はいつだってここにいる!

12. TRANSCENDENCE – 歌詞和訳・解説ページ:

IRATE「Transcendence」Lyrics 歌詞和訳 俺の怒りが限界を超えたら、もう眠ることすら許されないっ!

このページの中身

検索で来る人は入口がバラバラです。曲名から来る人もいれば、バンド名だけ知っていて来る人もいます。

だから先に全体の前提を置き、そこから各曲へ分岐できるようにします。

曲ページに書ききれない背景はこの固定ページ側に集めます。曲ページは曲に集中でき、固定ページは作品全体の前提を積み上げられます。

『11:34』が最初のフル作品と呼ばれる理由(口述史:Phil/Nando/U.V.)

口述史の中で、彼らは『11:34』を自分たちにとって最初のフル作品だったと明確に位置づけています。

曲数が多いからフルという話ではなく、曲作り、演奏、録音がアルバムとして成立する地点に到達したという自己認識が残っています。

同じ流れで、以前の曲を録り直した要素が含まれていることも語られます。

手抜きの再利用ではなく、当時より演奏が格段に上手くなったから録り直す必要を感じた、というニュアンスです。過去曲を過去曲のまま置かず、今のIRATEとして刻み直した。その選択が『11:34』を一つの完成形として成立させています。

また1998年作『Burden of a Crumbling Society』については、フル作品というよりデモとEPの中間の感覚だったと語られています。

この言葉があるからこそ、『11:34』がフルとして捉え直される意味がはっきりします。

1996年から2001年へ(バンドの時間が作品の密度を作る)

ここは口述史で語られている、バンド内の時間の話です。

『11:34』へ至るまでの時間も断片的に語られます。

ある時期はボーカルがバンドにいない期間があり、その間にギター側で素材を作り込む時間が長く取れた、という趣旨の話が出てきます。揃って走り続ける時期もあれば、離れている時間が作り込みの時間になる時期もある。その揺れが曲の密度や構造に影響していくのは自然です。

この話は、当時のバンドが止まっていたという意味ではありません。

むしろ、メンバーの生活や距離感の変化が、そのまま曲の詰まり方に跳ね返っていった時期として読めます。

さらに『11:34』は、作品全体として暗い方向に寄っていったというニュアンスでも語られます。

死や血、陰影の強いモチーフが作品の気配として濃くなる。歌詞の荒さだけで説明できるものではなく、アルバム全体の空気が暗く重く詰まっていく感覚です。

9/11とマスタリングの記憶(口述史)

制作の節目として強烈に記憶されている出来事として、2001年9月11日の米国同時多発テロ当日の話が口述史の中で語られています。

実行したのはアルカイダに連なる19人のハイジャッカーで、首謀者はオサマ・ビンラディン、作戦の実務設計はハリド・シェイク・モハメドが担ったと整理されています。

彼らは米国本土の象徴を狙い、米国を遠い敵として攻撃する戦略の一部として実行しました。

口述史では、マスタリングのためにニュージャージーへ向かう予定だった朝、クイーンズで目覚め、電話でテレビをつけろと言われて映像を目にした流れが語られています。そこで今日は行けないと判断した、という話まで続きます。

原体験としてのショー(口述史:Phil/Nando)

ここは口述史で語られている、当時の現場感の話です。

当時のショーはbrutalだったという言い方や、仲間同士もtough love的に厳しかったというニュアンスが語られます。

brutalは容赦がない空気、tough loveは優しさより厳しさで回っていた感覚に近いです。

現場が優しさより強度で回っていたことは、声と言葉の圧の背景として重要です。

Phil Vibezは、12〜13歳の頃にMarqueeでBiohazardを観た体験を語っています。曲は知っていたが現場のカルチャーが分からず圧倒された。それでも好きになり、また行くようになった。

Nandoは、自分の初ライブ体験としてDanzigのライブを語っています。母親が心配していたので父親が連れて行ってくれた。そこで強く残ったのが音の大きさだったことを振り返ります。

Castle Heights(Queens):IRATE初ライブの場所(口述史/配信番組)

ここは口述史と配信番組の両方に出てくる、場所の核の話です。

口述史の中で、IRATEの最初のライブがCastle Heightsで行われたことが語られています。

当時は曲が4〜5曲程度で、デモはその後に作ったという記憶も合わせて語られます。

さらにCastle Heightsは、BronxのバンドにとってQueensのホームになっていった、という趣旨の言葉も出てきます。

地理としてはBronxからQueensへ移動しているのに、感覚としてはもう一つの居場所ができる。その感覚を置いておくと、地名や現場のニュアンスが出てきた時に戻れます。

配信番組でも、IRATEの初ライブがCastle Heightsで、時期が1996年9月だったことが語られています。

2001年の『11:34』は、96年の現場と地続きで鳴っている。そう捉えると時間の厚みが見えます。

Kevin “Castle” Scondotto(Castle Heightsを動かした人物)

ここはCastle Heightsの背景として押さえておきたい人物の話です。

Castle Heightsを動かしていたのが、シーンでKevin(Castle)として知られたKevin “Castle” Scondottoです。

QueensのCastle Heightsを立ち上げ、長くブッキングを担い、多くのバンドに場を与えた人物として紹介されています。

Castle Heightsの後もBlackthorn 51など別会場に関わったことが言及されています。

2025年4月7日に亡くなったことが報じられました。

Castle Heightsの密度(配信番組)

ここは配信番組で語られている、空間の具体の話です。

配信番組の中では、Castle Heightsの規模感が具体的に語られます。

キャパは150〜160程度だったはずで、当時は倍くらい詰め込んでいた感覚があったという話です。

この前提があると、『11:34』の圧迫感が空間の身体感覚と結びついて見えやすくなります。

Castle Heights以前のNYC会場名(配信番組)

ここも配信番組で語られている、当時の地図の話です。

番組では、Castle Heights以前にショーが行われていた会場の名前も挙げられます。

CBGBs、Wetlands、Coney Island High、Bond Street、L’Amour、Marquee、Palladium、Webster Hall。

当時はこういう会場が回路になっていて、その延長線上にCastle Heightsがある、という見え方になります。

録音のリアル:通し録りの緊張が音に残る(口述史:U.V.)

ここは口述史の中でも、U.V.の具体が核になる部分です。

『11:34』が荒く生々しいと言われがちな理由は、美学だけではありません。

口述史の中で語られている録音条件がはっきりしています。特にU.V.が当時の録音について具体的に説明しています。

編集で整える余地が大きくない環境で録っていたこと。

部分修正は存在しても簡単ではなく、自然に聞かせるのも難しかったこと。

その結果として、ドラムは基本的に頭から最後まで通して録る必要があり、終盤でフィルをミスすれば最初からやり直しになる緊張が常にあった。

この条件は、理想のフレーズを追い込むより失敗しにくい選択へ寄る方向にも働く、というニュアンスまで語られています。

DIYの手触り:デモを手で作り、手で配る時代(口述史)

ここは口述史で語られている、制作と流通の手触りの話です。

口述史には、デモ制作から配布までの具体が残っています。

限られたトラック数で録るしかない状況で、ドラムとギターをまとめて録り、別トラックにボーカルを入れる、といった工夫で形にしていったという趣旨の話が語られます。

複製と配布の話も強い。コピーを作り、ジャケット素材を印刷して切り出し、手作業でパッケージングする。

レコード店へ持ち込み、ディストロへ送る。ショーに行って配る。

やり取りは手紙で、返事は一週間二週間かかる。ヨーロッパのディストロへ送る、という話まで出てきます。

Nickという存在(口述史)

ここも口述史で語られている、残す側の人間の話です。

口述史ではNickの名前が何度も出てきます。控えめなタイプだったという語りがあり、SNSも携帯もないから連絡はポケベルだったという細部も出てきます。

そしてデモの複製、配布の話の中で、Nickが外へ出していく役割を担っていたという趣旨で語られます。印刷物の準備、切り出し、発送、ディストロへの送付。残す側の手が動いていたことが分かります。

レコードはアーティストより長生きする(口述史:Phil)

ここは口述史の終盤で語られる、Philの作品観の話です。

Phil Vibezが再結成に対して慎重な姿勢を語り、人は死んだらそこにいないが音楽は残る、レコードはアーティストより長生きする、という趣旨の作品観に触れています。

さらに昔の曲だけをやると自分たちのカバーバンドになってしまう、という趣旨の発言も続きます。戻るなら新しいものを出す覚悟が必要だ、という考え方です。

『11:34』を読むための視点(曲ページへ繋ぐ前提)

編集前提ではない録音であること。特にドラムは通し録りの緊張が音に残っている可能性があること。

アルバム全体として暗い方向へ寄ったという当事者の認識があること。

Castle Heightsという現場の密度が、音の圧の背景として存在していたこと。

デモを物にして手で作り手で配った時代の手触りがあること。

作品は残るものだという思想が語られていること。

この前提を置いた上で曲ページへ入ると、単語の意味だけでなく言葉の温度が掴みやすくなります。

現在につながる話(補足)

ここから先は補足です。一次ソースの本文とは切り分けます。

Phil Vibezの息子がJay Vibezで、口述史の別回ではPhilが父親として同席している形で語られています。

JayはギターをNando Redrumから学んだ、という文脈でも触れられています。

Jayは現在、Brass Knuckle Brigadeにも参加しています。

Brass Knuckle BrigadeはNY/NJのハードコアで、Billy Club SandwichやKnights of the Black、Trez Muertoz周辺の繋がりを持つ編成として紹介されています。

公開されているクレジットでは、Martin Gonzalezがボーカル、Jay VibezとGary Muttleyがギターとして記載されています。

PhilとNando自身は、Knights of the BlackでJayと一緒に名前が挙がる形で紹介されています。

補足としてもう一つ。

Brass Knuckle BrigadeのMartin GonzalezからSNS経由で連絡をもらい、楽曲データも共有してもらいました。応援の意味も込めて、このページ内でも繋がりが見える形にしておきます。

出典(一次ソース)

<

p data-start=”5675″ data-end=”5894″>Oral history with Irate(Uptown Rumble: Heavy Music in The Bronx / Bronx County Historical Society 出演:Phil Vibez, Nando, U.V. 聞き手:Steven Payne)

The NYHC Chronicles LIVE!(Castle Heights回 出演:Gary Muttley / Phil Vibez ほか)