Minor Threat「I Don’t Wanna Hear It」は、1981年6月の1枚目の7インチに入った曲だ。メンバーは Ian MacKaye、Lyle Preslar、Brian Baker、Jeff Nelson。録音は1981年4月。長さは1分14秒。のちに出た公式デモ盤では、「I Don’t Want To Hear It」という表記でも出ている。

この曲は、最初から今の形だったわけではない。1980年11月の地下室録音の記録では、同じ曲名の曲があり、その時点では歌詞が違っていた。1981年3月にも録音候補として残った。1981年4月の録音で、1枚目の7インチの形になった。Ian MacKaye は後年、この曲の歌詞を寝室で練習音源のカセットを聴きながら書き、スタジオで初めて歌ったテイクをそのまま残したと話している。

Ian MacKaye は後年、初期 Minor Threat の曲は人と人とのやり取りについての歌だったと話している。当時の自分はかなり人に対して批判的だったとも話している。「I Don’t Wanna Hear It」は世の中全体にも向いている。自分の知っている、いつもでたらめばかり話している人間にも向いている。Ian MacKaye はそう話している。1981年1月のワシントン・ポストでも、Ian MacKaye は、自分たちは世の中全体に向かって歌っているのではなく、自分たちの周りにいて、自分たちを見下したり、見た目や振る舞いだけで勝手なことを言う人間たちに向かって歌っていると話している。

初期 Minor Threat の曲は実体験から来ていた。「I Don’t Wanna Hear It」と「Screaming at a Wall」は、当時の取材者と年上のパンクスへの嫌悪から生まれた。Jeff Nelson は、最初の全米ツアーの時期に各地でファンジン編集者にからかわれたことを振り返っている。Steve Hansgen は、年上の連中は若い世代をくだらないものとして見ていたと話している。DC 周辺の若い連中が、ジョージタウンの連中、子どもっぽい連中という呼び方で見下されていたことも記録に残っている。

同時期の映像では、Ian MacKayeは自分の年頃の連中は座り込み、酔い、瓶を投げ、車を飛ばし、荒れていたと話している。自分がパンクになった時に向き合っていた相手は、まわりにいた子どもたちや友人たちだった。自分はそういう連中のようにはなりたくなかった。そこに自分の居場所も感じなかった。だから別のやり方を見つけた。Ian MacKaye はそう話している。ジョージタウンの商人たちは、パンクに店の窓を割り、壁に落書きをし、路上で飲み、人を殴るような姿を求めていた。自分たちはジョージタウンへ行っても盗みをせず、店で金を払い、普通に振る舞っていた。頭を剃ったパンクの見た目のまま、相手が求めていた振る舞いとは逆のことをしていた。

1982年のインタビューでは、Brian Baker が、自分たちは他人に何をしろとは言わない、自分たちがどうしているかを歌っているだけだと話している。Ian MacKaye は、ストレート・エッジは運動ではなく、個人のものだと話している。同時期の映像では、Ian MacKaye は、自分はもともとほとんど真っ直ぐに生きてきて、大麻も吸ったことがなく、友人たちがどんどん酔っていき、ばかな振る舞いをしていくのを見続けるうちに、その状態への強い嫌悪が生まれたと話している。ストレート・エッジは規則の集まりではない。自分のほうが上だと言うためのものでもない。自分は頭がはっきりしていて、自分のことを自分で把握している。Ian MacKaye はそう話している。1983年の WERS のインタビューでも、Ian MacKaye は、ストレート・エッジは人に命令するものではなく、執着への反発と、自分の頭で考えることだと話している。

歌詞では、相手は自分のことばかり話す。その話には真実がない。嘘ばかりだとされる。毎日しゃべり続ける。最初は作り話をする。そのあと嘘をつく。そこで繰り返されるのが、もう聞きたくないという題名の言葉だ。

楽曲分析では、この曲の節は二つの部分に分かれている。前半では六弦上でファ♯、ミ、ファ♯の動きが繰り返される。後半では五弦上でシから高いミへ移る。前半には題名の言葉が置かれる。後半には相手への具体的な文句が置かれる。前半と後半では、使う弦、音の動き、和音の置き方、リズムの処理も分かれている。

1982年4月30日の Wilson Center の記録では、Ian MacKaye が題名の言葉を歌うたびに、観客が相手をでたらめだと返している。1981年から1983年にかけての演奏記録では、この曲は 9:30 Club、CBGB、Love Hall などでも演奏されている。

後年、この曲は別の世代にも取り上げられた。88 Fingers Louie は1995年の『Punk Rock Jukebox』と『Behind Bars』に入れ、1996年の演奏記録にも残っている。The Suicide Machines は1995年の『Misfits of Ska』と1996年の『Destruction by Definition』に入れた。Dan Lukacinsky は、この曲は何年もやってきた曲で、自分たちはみんな Minor Threat の大ファンだからアルバムに入れたと話している。Foo Fighters 版は、1994年から1995年の初期素材をもとに、2025年に Dave Grohl が歌を入れて完成したものとして出ている。

I Don’t Wanna Hear It

I don’t want to hear it

俺はそんなこと聞きたくない

All you do is talk about you

おまえは自分のことばかり話してる

I don’t want to hear it

俺はそんなこと聞きたくない

‘Cause I know that none of it’s true

だって、そのどれも本当じゃないと俺は知ってるから

I don’t want to hear it

俺はそんなこと聞きたくない

Sick and tired of all your lies

もうおまえの嘘にはうんざりだ

I don’t want to hear it

俺はそんなこと聞きたくない

When are you gonna realize…

おまえはいつになったら気づくんだ…

That I don’t want to hear it

俺がそんなこと聞きたくないってことに

Know you’re full of shit

おまえがでたらめばかりだってわかってる

Shut your fucking mouth

クソったれな口を閉じろ

I don’t care what you say 

おまえが何を言おうが知ったことか

You keep talking

おまえは話し続ける

Talking everyday

毎日しゃべってる

First you’re telling stories

最初は話を並べる

Then you’re telling lies

それから嘘をつく

When the fuck

一体いつになったら

Are you gonna realize

おまえは気づくんだ

That I don’t want to hear it

俺がそんなこと聞きたくないってことに

Know you’re full of shit 

おまえがでたらめばかりだってわかってる