Shattered Realmの「Devil in Disguise」は、2005年11月22日発売のアルバム『From the Dead End Blocks Where Life Means Nothing』に収録された2曲目で、曲の長さは1分48秒。Joe Hardcoreがフロントに立った時期のShattered Realmを代表する1曲として扱われてきた。

この曲についていちばん重要なのは、Joe Hardcore本人が残した説明があることだ。2006年のインタビューでJoeは、このアルバムの歌詞は自分が実際に経験した状況をもとに書いていると話し、そのうえで「Devil in Disguise」は元の恋愛相手についての曲だと説明している。同じ場で、曲の大半はJoe Noneが書き、自分が歌詞を書き進めたとも述べている。

このため、この曲を扱う時に最低限押さえるべき事実は3つある。ひとつは、この曲の主題が恋愛関係の破綻や不信に結びついていること。ひとつは、歌詞が抽象的な創作だけではなく、Joe自身の実体験の延長で書かれていること。もうひとつは、楽曲の骨格そのものはJoe None側が強く担い、Joe Hardcoreは歌詞と歌で前面に出たという制作分担だ。

歌詞の内容も、この説明の範囲で読むのがいちばん正確だ。歌詞には、相手を見抜いた側の視点が一貫している。愚かなふり、歪んだ笑顔、偽りの約束、欺瞞の海、嘘の森といった言葉が並び、相手を裏切りと偽装の象徴として見ていることがわかる。エデンの蛇という比喩も出てくるが、ここから宗教的主題へ広げる根拠は今ある資料にはない。Joe本人が元の恋愛相手についての曲だと明言している以上、この曲の軸はまず人間関係の裏切りに置くべきだ。

同時に、この曲はShattered Realmの時期的な転換点の中に置くと位置がはっきりする。Joe Hardcore自身は、Shattered Realmへの本格参加を2004年後半のこととして語っている。別の回想では、Punishmentの最後のツアーやHellfest後の流れの中で自分の役割が始まったとも話している。つまり『From the Dead End Blocks Where Life Means Nothing』は、Joeが完全な初期メンバーとして積み上げた作品ではなく、バンドの流れの途中から入って歌詞と歌で強く存在感を持つようになった時期の作品だった。2003年後半から2004年にかけては、Big ChrisとAlの離脱、Paul Brownの一時的な参加など、フロント周辺の移行も起きている。このアルバムは、そうした変化を経たあとの改編期Shattered Realmの姿を刻んだ作品でもある。

外部の同時代レビューを合わせると、このアルバムがどう受け止められていたかも見えてくる。複数のレビューで、Joe Hardcore、Danny Cahill、Chris Rage、Joe None、Jason Baileyの編成が確認されている。Joe Hardcoreは比較的新しいボーカルとして扱われ、作品全体は短く、直接的で、よりコンパクトに叩き込む内容だと受け止められていた。Blabbermouthのレビューでは「Devil in Disguise」が速いリフの曲として名指しされており、アルバムの中でも勢いのある1曲として見られていたことがわかる。発売前にはe-cardで「Devil in Disguise」と「New Disgrace」の2曲が先に聴ける形で出されており、埋もれた曲ではなく、当時のバンド側が前に出していた曲だったことも確認できる。

Joe Hardcoreの背景を掘ると、この曲の言葉がどこから出てきたかの土台も見えてくる。JoeはPhiladelphiaの貧しい地域で育ち、家庭には暴力、薬物、生活苦があった。母はGED取得を目指しながら家計を支え、時にはストリップで金を稼いでいた。Joe自身も1997年頃から1999年末まで荒れた時期があり、親友Carmen D’Amicoの死をきっかけに酒とドラッグを断ったと語っている。こうした生い立ちや人間関係の傷そのものが「Devil in Disguise」の意味を直接説明するわけではない。ただ、Joeが書く言葉が空想のドラマではなく、自分の生活と切れたものではないことは、この周辺証言からかなり強く裏づけられる。

Joe Hardcoreは2006年のインタビューで、「Devil in Disguise」を元の恋愛相手についての曲だと説明している。アルバム全体の歌詞も実体験に基づくものだと本人が話しており、この曲もその流れの中にある。Shattered Realmの編成が動いていた時期に作られ、発売前のe-cardでも先に公開されていたことから、この曲は当時のバンドが前に出していた1曲だった。現時点で確認できる範囲では、相手の固有名や具体的な出来事まで裏づける情報は見つかっていない。

Devil in Disguise

I’VE SEEN YOU PLAY THE FOOL JUST ONE TOO MANY TIMES

おまえが馬鹿を演じるのを見るのはもう十分だ

THERE’S NO GOLD FOR YOU AT THE END OF THIS RAINBOW

この虹の果てにおまえに金などない

I ABHOR YOUR WRETCHED WAYS

おまえの卑劣なやり方は心底嫌いだ

YOU’RE THE SERPENT IN EDEN

汝こそがエデンの蛇なり

YOU’RE POISON TO ALL WHO CAN’T SEE PAST THAT CROOKED SMILE

その歪んだ笑顔の奥を見抜けない者たちにとっておまえは毒だ

I SEE THROUGH THE GAMES

俺はその駆け引きを見抜いている

I KNOW WHERE YOU’RE WEAK

おまえの弱点はわかっている

I’VE HEARD ALL THE TALES

あらゆる物語を聞いた

YOU CAN’T FOOL ME AGAIN

二度と騙せない

WITH A KISS AND THE LAME

キスと不器用さとともに

PROMISE OF A FOREVER

永遠の約束

THE DEVIL IN DISGUISE

偽りの悪魔

YOUR BEAUTY IS WEARING THIN

おまえの美しさは薄れつつある

THE WORLD WILL SEE THROUGH YOU

世界はおまえを貫いて見るだろう

AND YOU WILL HAVE NOTHING

そしておまえは何も持たないだろう

YOU CHOKE THIS WORLD ABOUND A MASSIVE GROVE OF LIES

おまえはこの世界を巨大な嘘の森で窒息させた

FALSE PRETENCES AND BROKEN PROMISES COLLIDE

偽りの見せかけと破られた約束が衝突する

I HOPE YOU DROWN IN YOUR OWN OCEANS OF DECEIT

おまえが自らの欺瞞の海に溺れ死ぬことを願う

THERE WILL BE NO MOURNING OR THOUGHTS OF REMORSE 

嘆きも後悔の念も一切ない