Metallica(メタリカ)の『Hardwired…To Self-Destruct』(2016年発売)は、バンドにとって8年ぶりのスタジオ・アルバムであり、現代社会の暴走や人間性の崩壊をえぐるように描いた楽曲も多い作品です。 metallica.com+1

その中でも「ManUNKind」は、タイトル自体が mankind(人類) に unkind(不親切/残酷) を挟み込んだ言葉遊びで、“人はどこまで非情になれるのか”を突きつける一曲。歌詞にはアダム/エデンといった聖書モチーフ、崩壊と再創造(リセット)のイメージが散りばめられています。

ノルウェーのブラックメタルを語る上で避けて通れないのが、1984年にオスロ圏(オスロ近郊のLanghus/Ski周辺)で結成されたMAYHEM(メイヘム)です。初期の過激な美学と、90年代初頭のノルウェー・シーンの“中心地”になった存在感によって、彼らは「第二波ブラックメタル」の象徴のひとつとして語られてきました。metal-archives.com
中心人物のひとりだったEuronymous(ユーロニモス)Øystein “Euronymous” Aarsethは、レコードショップ兼たまり場として有名なHelveteやレーベル運営でも影響力を持ち、当時のアンダーグラウンドの空気を決定づけた存在として知られています。ウィキペディア+2ウィキペディア+2
一方で、その周辺では暴力事件などを含むスキャンダラスな出来事が重なり、伝説化と誇張、否定や反論が入り混じる“語られ方”が今も続いています(映画『Lords of Chaos』も、1998年の同名書籍をベースに描かれた一つの解釈として見た方が安全です)。Pitchfork+1
こうした背景を踏まえると、Metallicaの「ManUNKind」が、ブラックメタル神話を題材にした映画世界と接続して見えるのも面白いところで、MVを手がけたJonas Åkerlundが『Lords of Chaos』の監督でもある点は、作品同士の距離を一気に縮めます。Pitchfork
「Euronymous(ユーロニモス)」は「Burzum(バーズム)」の「Varg Vikernes(ヴァルグ・ヴィーケネス)」に殺害されたということです。

Mayhemの中心人物だったEuronymous(ユーロニモス)と、ソロ・プロジェクトBurzumのVarg Vikernes(ヴァルグ)は、90年代初頭のノルウェー・ブラックメタルの象徴的な関係だった。
しかしその関係は、シーン内部の権力争い・金銭トラブル・思想的な対立・脅迫の応酬など、複数の要因が絡み合いながら急速に悪化していく。なにが決定打だったのかは当事者証言も食い違い、“真相”は一枚岩ではない。Pitchfork+2ザ・ガーディアン+2
そして1993年、Euronymousは殺害され、Vargはこの事件で有罪判決を受けた。ブラックメタルが「音楽」だけでなく、暴力と犯罪のイメージと結びついて語られるようになった最大の転換点でもある。Pitchfork+2ザ・ガーディアン+2

Metallica「ManUNKind」の歌詞は、〈Chaos/Madness/Garden of Eden〉といった言葉を軸に、人間(mankind)の“善性”が崩れて“unkind”になっていく感覚を描く。ここにノルウェー・ブラックメタルの「混沌」「狂気」「信仰(反転した信仰)」の物語を重ねると、MVの世界観が一気に腑に落ちる。Atlas Obscura+1
重要なのは、歌詞がMayhem事件を直接“説明”しているわけではないこと。
むしろMV側が『Lords of Chaos』(ブラックメタル黎明期と事件を描く作品)の空気を借りて、曲のテーマである“人間不信/人間の残酷さ”を視覚的に補強している――この整理が一番強い。Pitchfork+1


![]() 2016 “Hardwired…To Self-Destruct“ Disc One 1. Hardwired 2. Atlas, Rise! 3. Now That We’re Dead 4. Moth Into Flame 5. Am I Savage? 6. Halo On Fire Disc Two Disc Three (Deluxe Edition Only) |







