
Death Before Dishonorとは
Death Before Dishonor(DBD / DB4D)は、アメリカ・マサチューセッツ州ボストン出身のハードコア・バンドです。
2000年ごろに結成され、Spook City Records からの初期作を経て、2005年以降は Bridge Nine Records の主要バンドとして世界中をツアーしてきた、「ボストン・タフガイHC」の代表格と言っていい存在だと思います。
Agnostic Front、Sick Of It All、Madball、Merauder、Hatebreed などからの影響は本人たちもあちこちで公言していて、オールドスクールHCの勢いとメタリックなブレイクダウンをミックスしたスタイルを、ボストンらしいローカル感と生々しいリアリティで叩きつけてくるバンドです。
2025年には6枚目のフルアルバム『Nowhere Bound』を Bridge Nine からリリース。
結成から20年以上経った今も、ちゃんと「現役のボストンHC」として動き続けているところが、このバンドの一番かっこいいところだと思います。
結成〜Spook City時代(2000–2004)
DBDは、2000年前後のボストン・ハードコア・シーンの中で、
Incision / Fuse / League Of Pain といったローカル・バンドのメンバーを母体としてスタートしたと言われています。
ヴォーカルの Bryan Harris は初期から一貫してフロントマンを務めていて、インタビューやライブMCを見ていても、バンドの中核になっているのがハッキリ伝わります。
2002年には Spook City Records から1stアルバム 『True Till Death』 をリリース。
東海岸らしいビートダウンHCとストリート感の強いリリックが合体した一枚で、タイトル曲「True Till Death」は、いまでも彼らの代表曲としてセットリストに入り続けている鉄板ナンバーです。
この Spook City 期には、ノースカロライナの Nourish The Flame とのスプリットなども出していて、当時のUSアンダーグラウンドHCの中で、少しずつ名前と存在感を広げていきました。
Bridge Nine時代と代表作(2005–現在)
Friends Family Forever(2005)
2005年、DBDは Bridge Nine Records と契約し、アルバム 『Friends Family Forever』 をリリースします。
ここから、バンドの見られ方が一気に変わります。
それまで「ローカルの有望株」だったのが、この作品をきっかけに「世界基準のボストンHCバンド」として本格的にツアーを回りはじめた印象です。
タイトル通り、
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Friends
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Family
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ローカル・シーンへの loyalty
といったテーマが全面に押し出されていて、以降の DBD 像を決定づけた作品でもあります。
Count Me In(2007)
2007年には 『Count Me In』 を発表。
オールドスクールな疾走感とモッシュ・パートのバランスがとても良くて、Death Before Dishonor の代表作として名前が挙がることも多い1枚です。
個人的にも、このアルバムで一気にバンドの輪郭がハッキリした印象があって、初期の荒さと、ツアーを重ねたタイトさがちょうどいい感じで同居しています。
Better Ways To Die(2009)
2009年の 『Better Ways To Die』 では、よりスラッシーなギターとソリッドなソングライティングに踏み込んでいて、メタル寄りのリスナーからも評価されやすい作品になっています。
ブレイクダウンだけに頼らず、曲の構成やリフの流れでしっかり聴かせるタイプのメタリックHCが好きな人には、このアルバムが一番しっくり来るかもしれません。
Unfinished Business(2019)
約10年近いスタジオ・アルバムの空白を破って、2019年にリリースされたのが 『Unfinished Business』。
タイトル通り「まだ終わっていない」「まだやるべきことがある」というメッセージを掲げていて、ボストンHCの“ベテラン枠”になってきたDBDの意地と貫録を感じさせる作品です。
Nowhere Bound(2025)
2025年5月、6thフルアルバム 『Nowhere Bound』 を Bridge Nine からリリース。
プロデュース/ミックスは Zeuss(Hatebreed, Rob Zombie など)で、11曲・22分というタイトな構成の中に、現在進行形のボストンHCがギュッと詰まっています。
古くからのファンが聴いても「ちゃんとDBDだな」と思えるし、ここから入っても全く問題ない、今の彼らのベストな名刺代わりみたいなアルバムです。
ディスコグラフィ(主要作)
アルバム(フル+ミニ)
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Wartime(Demo, 2001)
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True Till Death(Spook City, 2002)
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Friends Family Forever(Bridge Nine, 2005)
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Count Me In(Bridge Nine, 2007)
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Better Ways To Die(Bridge Nine, 2009)
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Unfinished Business(Bridge Nine, 2019)
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Nowhere Bound(Bridge Nine, 2025)
EP / スプリット / その他
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Wartime Demo(2001)
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Split w/ Black Friday ’29(Bridge Nine, 2006)
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Break Through It All(EP, 2007)
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Our Glory Days(EP, 2009)
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Live at CBGB 07/13/06(2022) ほか
作品ごとに曲の雰囲気や歌詞の方向性も少しずつ変化しているので、年代順に追いかけると「ボストンのハードコア・バンドが年を重ねながらどう続いていくか」という物語としてもけっこう面白いです。
メンバーとバンドの中核
DBDは結成以降、ギターやベース、ドラムのメンバーが入れ替わることが多いバンドですが、ヴォーカルの Bryan Harris だけはずっとフロントに立ち続けています。
インタビューやライブ映像を見ていると、
ソングライティングやバンドの方向性、MCでのメッセージなど、彼が“核”になっているのがよくわかります。
近年(『Nowhere Bound』期)のラインナップは、おおよそこんな感じで整理できます。
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Bryan Harris – Vocals
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Ben Kelly – Guitar
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Justin Viera – Guitar
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Greg Chihoski – Bass
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Ben Hilton – Drums
過去には、Erik Deitz(G)、Frankie Puopolo(B)、Andrew “Memphis” Murphy(Dr)など、多くのメンバーが在籍してきましたが、「Bryan+その時代のクルー」という形で、世代ごとにバンドが更新されてきたと言っていいと思います。
サウンドと歌詞のテーマ
サウンド
DBDのサウンドをざっくり言うと、
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NYHC 直系のリフ
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ツーバス寄りのブレイクダウン
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ボストンHC特有のラフで荒っぽいノリ
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そこにメタル寄りのザクザクしたギターが乗る
というスタイルです。
海外のレビューでも「beatdown-heavy metallic hardcore」「bruising Boston hardcore」みたいな言われ方をしていて、いわゆるタフガイHC〜メタリックHCのど真ん中にいるバンドだと思います。
歌詞・メッセージ
歌詞の主なテーマとしては:
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友人・家族・ローカルへの loyalty(「Friends Family Forever」など)
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裏切り、失望、自己嫌悪
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貧困や暴力、薬物などを含むリアルな日常
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それでも「ハードコアとしてどう生きるか」という意地と誇り
こういったものが多いです。
Bryan のインタビューでも、
「年齢を重ねても、仕事や家庭と折り合いをつけながらハードコアを続けていくことがリアルだ」
といった趣旨の発言が何度も出てきていて、若さだけのパワーで突っ走るHCというよりは、大人になってからも消化しきれない怒りや矛盾を抱えたままステージに立ち続けるバンドという印象があります。
ツアーと世界展開
Death Before Dishonor は、とにかくツアーの多さで知られています。
アメリカ本土はもちろん、カナダ、中南米、西ヨーロッパ、東欧、東南アジア、中東まで、とにかく世界中をまわっていて、海外フェスやツアーポスターを追いかけるだけでも「まだこんな国にも行くのか」と思うくらいです。
近年も、
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『Unfinished Business』リリース後のEUツアー
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『Nowhere Bound』に合わせた US〜ヨーロッパのツアー
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This Is Hardcore、The Rumble などのフェス出演
など、「ボストン代表で世界を回る現役バンド」というポジションをしっかりキープし続けています。
クルー文化・FSUとの関係について
ボストンという土地柄もあって、Death Before Dishonor もクルー文化やストリートの空気とまったく無縁、というわけではありません。
ライブには、いわゆるボストンHCクルーの連中も多数出入りしていて、
FSU(Friends Stand United) の名前とセットで語られることもよくあります。
ただし、公式のインタビューやレーベルの資料などを見ている限りでは、
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「バンドとしてFSUを名乗っている」
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「公式にFSUのクルーバンドである」
といったハッキリした言及は見当たりません。
現時点でまとめるなら、
DBDはボストンHCという文脈の中で、クルー文化やFSUと同じ空気を共有しながら活動してきたが、
公的な場で“FSUのバンド”と名乗っているわけではない。
くらいのニュアンスに留めておくのが現実的だと思います。
他バンドとの交流・ツアーメイト
DBDはこれまでに、ものすごい数のハードコア/メタル・バンドとツアーやフェスで共演してきました。
代表的なバンドを挙げると:
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Hatebreed
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Terror
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Agnostic Front
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Sick Of It All
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Madball
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Unearth
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Trapped Under Ice
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Ringworm
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Jesus Piece
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Section H8
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Bulldog Courage(「Old Friends Die Hard」をカバー/トリビュート)
など、タフガイHC〜メタリックHC〜メタルコアの重要バンドとの共演歴がズラッと並びます。
特に 2025年のシングル「Old Friends Die Hard」は、Albany Hardcore の Bulldog Courage へのトリビュートとして再録されたもので、
DBDが単に「同世代のバンド」と一緒に回るだけではなく、ローカルHCの歴史や仲間へのリスペクトを強く持っていることが伝わってくるエピソードです。
コア視点で見た Death Before Dishonor
Death Before Dishonor を一言でまとめるなら、
「NYHC〜タフガイHCの文法を土台にしつつ、
ボストンという街の空気と“Friends Family Forever”のメンタリティを、
20年以上ブレずに叩きつけてきたバンド」
だと思っています。
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初期作『True Till Death』の荒削りなモッシュHC
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『Friends Family Forever』『Count Me In』での“世界基準ボストンHC”への到達
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『Unfinished Business』『Nowhere Bound』で見せた、年齢を重ねた上でのリアリティと怒り
この流れを通して聴いていくと、
単なる「タフガイ」「ビートダウン」以上に、生活・労働・仲間・裏切り・老いといった、ハードコアの裏側にある生身の人生が見えてくるはずです。
シーンの表層だけをなぞる「ファッション・コア」とは真逆のところで、
ボストンHCの“継続”そのものみたいなバンド――それが Death Before Dishonor だと感じています。
『True Till Death』収録曲と歌詞和訳リンクまとめ ここから先は、初期作 『True Till Death』 の収録曲と、自サイト内の歌詞和訳・解説ページへのリンクをまとめておきます。
01. TRUE TILL DEATH – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「TRUE TILL DEATH」Lyrics 歌詞和訳 孤独で立ちながら、真実を求めろ!!
02. NOWHERE BOUND – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「NOWHERE BOUND」Lyrics 歌詞和訳 俺が見てたものなんて、全部偽りの希望だった。
03. ANOTHER DAY – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「ANOTHER DAY」Lyrics 歌詞和訳 虚無こそが俺の存在を説明する。
04. TIME TO DIE – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「TIME TO DIE」Lyrics 歌詞和訳 俺の憎しみの世界へようこそ!!!
05. TORN APART – 歌詞和訳・解説ページ:☟
06. SEVEN – 歌詞和訳・解説ページ:☟
07. FOREVER ALONE – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「FOREVER ALONE」Lyrics 歌詞和訳 おまえは人生を生きる意志なんかない!
08. HOPELESS – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「HOPELESS」Lyrics 歌詞和訳 おまえ自身の内側にある真実と向き合え!
09. PLAY YOUR PART – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「PLAY YOUR PART」Lyrics 歌詞和訳 おまえの役目をちゃんとわきまえろ!
10. ENDLESS SUFFERING – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「ENDLESS SUFFERING」Lyrics 歌詞和訳 解放されたいと願う気持ちが、止まってくれない!
11. NOTHING BUT AGONY – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「NOTHING BUT AGONY」Lyrics 歌詞和訳 かつて胸に感じた愛はどこへ行ったのか。
12. UNDER MY SKIN – 歌詞和訳・解説ページ:☟
Death Before Dishonor「UNDER MY SKIN」Lyrics 歌詞和訳 隠すことができない痛ましい真実。
