アメリカ本国では、2012年以降からサンフランシスコを中心として、話題になり始めたアメリカンジャイアントですが、スウェットウェアに定評が高いブランドで、ある記者は、「アメリカンジャイアントのスウェットパーカーは世界最高峰の出来だ」という位の物らしいです。
アメリカのスウェットブランドでみんなが思いつくようなのを挙げてみると、まず歴史が長い王道のチャンピオンやラッセルアスレチック、ディスカス、最近人気だったヴェルバシーン、フルーツオブザルーム、レイニングチャンプ、超へヴィーオンスなグッドウェアやキャンバーなどなど、他にもたくさんあると思うのですが、パッと思いつくものがこれだけある中で、「アメリカンジャイアント」とはどのようなポジションなのでしょうか?
そして、アメリカンジャイアントが支持される理由は一体何なのでしょう?
USAブランド「アメリカンジャイアント」とは?
「アメリカンジャイアント」をネットで検索しても、植物のひまわりが出てきてしまう位、日本での知名度がないブランドなので、まずはアメリカンジャイアントのエピソードを見ていきましょう!
創業者で社長のBayard Winthrop氏は、幼い頃に父親から譲り受けた、1950年代頃に軍隊から支給されていたU.S.NAVYのスウェットシャツがクローゼットにしまってあったそうです。その貴重なスウェットシャツと現在のアパレル製品との現状を見比べてみて、半世紀以上経った現在でも着れてしまう、過去のシンプルなアメリカ製品の丈夫さにインスピレーションを受けたのがきっかけとなって、長く着らるような、とても丈夫でシンプルなデザインのアパレル製品を開発しようと思ったそうです。
そんなアパレル製品を、自身で試行錯誤してアイデアが固まった時点で、実現可能なデザイナーを探すために、それまで務めた,日本でも人気のサイクリングカルチャー発祥の街であるサンフランシスコ発メッセンジャーバッグブランド[CHROME]の社長を辞めて、アップル社の製品である、初代i-phoneのカバーガラスとタッチパネルモジュールの開発に関わった工業デザイナーのPhilip manoux氏を誘い、アメリカンジャイアントのクリエイティブディレクターに迎えました。
彼は世界最高品質のフード付きスウェットシャツを作成する為に試作品をいくつも作ったそうですが、完成までそれ程時間は掛からなかったそうです。
そのスウェットパーカーを元にして、アパレル業界では殆んどの人達が不可能だと考えて、諦めかけていた「メイドインUSAの復権」という強い想いと、現在の殆どのアパレル製品は、ブランドを構築するための広告費に80%以上をかけていて製品自体とは全く関係がなくて、そのせいでクオリティが低くされた製品に高いお金を支払っている消費者の立場を考えて業界に革命を起こすべく、一切海外での生産は考えずに、原料調達や輸送、紡績、製造、販売まで全てをアメリカ国内でのみ行って、広告費をかけず、店舗も持たず、オンラインショップと移動販売という手段だけでコストを最低限までに抑え、製品自体のクオリティを最大限に高めてアプローチしました。
その結果、製品のクオリティの高さとコストパフォーマンスが口コミで広がりだして、マスコミやメディアなどが取り上げて一躍有名になって、その影響から生産が追い付かずに、スウェットパーカーが手に入らずに何か月も予約待ちという現象も起きました。現在はサンフランシスコの本社でのみ実店舗があり、製造工場も増えたので落ち着いたらしいです。
こんなエピソードがあったからこそ、アメリカで地位を築けたんですね♪しかし、クオリティっていうのは人それぞれの感覚と好みの問題があると思いますので、一言で品質が良いと言われても難しいところですが・・・それではどれ位クオリティが高いのかを見ていきましょう!
アメリカンジャイアント製品のクオリティ
まず世界三大綿の一つとして、アメリカ国内の一部と南米、アメリカの先住民族ピマインディオが生活していた現在のアリゾナ州のピマ地方で長年に渡って研究されてきた幾度となく品種改良を重ねられたスーピマコットン協会が認めた最高品質のピマコットンを使用しています。
スーピマコットンと聞くと、個人的にユニクロが思い浮かぶのですが、スーピマコットン協会のホームページでもちゃんとユニクロの名前が載っていて、目の付け所が素晴らしい企業だと思いました。
ピマ品種のコットンは基本的に収穫の際、刈り取りし易いように綿の毛足が長く改良されています。
この毛足が長いことは、何本もの繊維を重ね合わせて糸にする工程で撚っていく際に短い毛足の物だと繋がっていないポイントが沢山できてしまう分、スーピマコットンは3~4割程通常の品種の物よりも強度が高いのですね。
そこから製糸の工程の一番最初に処理でコーミングをした際に、一番品質の良いとされていて光沢があり毛羽立ちが少なく肌触りの良くなるコーマ糸とリング紡績機でしめ縄を作る原理で紡績されて糸の表面が滑らかで更に、強度の出るリングスパン糸の良いところ両方を採用した紡績糸から製織されたテキスタイルでアメリカンジャイアントの製品が作られています。へヴィーオンスの物は10番手以上の太い糸を、ライトオンスの物は10番手以下の糸が使われていて製糸の段階から強度の事が考えられているんですね♪
そんな感じで作られた生地を裁断する段階には、残念ながら現在は、アメリカンジャイアントのクリエイティブディレクターから退いて、再び工業デザインの業界で活躍されているPhilip manoux氏が、自ら製品の強度を高めるために必要な工業デザインの理論を組み立てたアイデアを、ふんだんにとり入れられた設計が施されています。
トップスの場合などでは、一般的に弱いとされている首周りや繋ぎ目などの部分には、ダブルステッチで細部に沿って縫い付けられた、専用のコットンテープで強度を高める縫製がされていたり、有名ブランドの超高級レザーや乗馬などに使用される、鞍に採用されるサドルステッチと同じ原理で二本の針で両側から8の字を描く様に交差して縫製されている為、とても頑丈な縫い方で万が一、片方の糸が切れてしまっても、もう一方の糸がしっかり縫われた状態を保ち縫い目が解けない手法が採用されていたりで、強度に関しては他のスエットメーカーに追随を許さない感が強いですね。
スーピマコットンを使用した製品を作っているユニクロや他メーカーでも、強度の面で色々と考えられているとは思いますが、世界的に観ても優れた実用性のあるモノは殆ど工業デザインを元にして生まれていっていると言っても過言ではないと思うので、アパレル的な発想からよりも、アメリカンジャイアント製品の丈夫さに関しては、工業デザイン出身のクリエイティブディレクターのPhilip manoux氏の設計に対する評価や根拠、信頼性が大きく影響して、現在でも支持を集めているのではないかと思います。
ひと昔前のアメリカ製のスウェットやTシャツなどは強度の面が優れていた半面、日本人にはシルエットだけではなく肌触りの面でも独特な違和感を感じてしまう、ガサ感と呼ばれる質感がありました。
アメリカンジャイアントは強度への拘りだけではなく、そのシルエットや質感にも定評があり、進化を続ける製品を発表し続けています。新たな設計と実験を繰り返して、全てのクオリティへの追及が製品化されて毎週のように実店舗でのみ発表がされています。そんなへヴィーウェイトコットン製のアイテム達は買ったその日から、何年も着こんだような柔らかい着心地で肌に馴染んでしまうと言われています。
最後に、個人的には、アメリカンジャイアントは現在においてのリアルメイドインUSAブランドとして、一番大事な、ニーズの立場に立った提案が出来て、本当に価値のある物をそれに見合った値段で提供する事が、実現できてしまう根拠と仕組みを持ったブランドなのだと思います。
是非これからも「シンプルな考えと方法、シンプルなデザインこそが偉大な物を生み出す」というアメリカンジャイアントの社長Bayard Winthrop氏の想いを貫いていって欲しいと思います♪
最後まで見て頂きまして、どうもありがとうございました!